粘着剤の基礎知識

粘着剤とは?

粘着剤とは?
粘着剤の用途

粘着剤・接着剤の定義

接着剤とは、物と物を貼りつけるための材料で、接着の前後で液体から固体へと状態変化がある材料のことです。
粘着剤は接着剤の一種ですが、液体から固体への状態変化はありません。感圧性接着剤(Pressure Sensitive Adhesive = PSA)とも呼ばれ、指で軽く押す程度の力で簡単に被着体に貼りつくことが可能です。
粘着剤は、接着剤のようにチューブから出してそのまま使用することはできません。支持体と呼ばれるフィルムなどの基材に塗布し、溶剤や水などを揮発させ、粘着テープや粘着フィルムとして使用されます。

アクリル系粘着剤 SKダイン™について

粘着剤の形態

大きく3つに分類することができます。

  • 溶剤型
  • エマルジョン型
  • 無溶剤型

それぞれの特長や形態をまとめると以下のようになります。

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形態 特長
溶剤型 粘着成分を有機溶剤に均一溶解
※不均一の場合もあり
塗工性良好 換気設備が必要
エマルジョン型 粘着成分を水に分散 環境負荷が小さい 耐水・耐候性に劣る
無溶剤型 ホットメルト型 熱溶融 一度の塗工で粘着剤層の厚膜化が可能 高温に対する注意が必要
UV重合型 粘着成分をモノマーに溶解 重合阻害が起きやすい
  • 溶剤型
  • エマルジョン型
  • 無溶剤型

溶剤型粘着剤

溶剤型粘着剤は、有機溶剤に主成分や添加剤などを溶解した粘着剤で、有機溶剤が揮発することによって、粘着性能が発現します。
粘着剤はアクリルなどの樹脂からなっており、トルエンや酢酸エチルなどの有機溶剤(以下溶剤)に溶解します。溶剤は粘着剤の粘度を低くし、塗工性を高めるために使用されています。また、水よりも揮発が早く、適切な粘着性能が発現する乾燥状態を得やすいため、製造工程の効率化が図れます。溶剤は種類が多くあり、添加剤の溶解性や塗工面の調整など、目的に応じて使い分けができることも特徴です。
一方、溶剤を含むことから、引火の危険性および揮発性有害物質(VOC)による健康や環境リスクがあり、低VOC化が求められています。また、溶剤型粘着剤を使用する場合、作業場所においては換気が必要です。

エマルジョン型粘着剤

エマルジョン型粘着剤は、主成分や添加剤などを水に分散させた粘着剤です。溶剤を使用しておらず、環境負荷が小さいです。最近では、世界中で環境に対する意識が高まっており、脱溶剤タイプの粘着剤として、注目されています。
一方、製造時に乳化剤(界面活性剤)を使用するため、溶剤型粘着剤と比較すると耐水性に劣る部分があります。また、表面張力が高く、チクソ性があるため、安定的な被膜形成に技術が必要です。さらに、乾燥効率が悪く、生産性の低下も懸念されるため、対策が必要です。

無溶剤型粘着剤

無溶剤型には、ホットメルト型とUV重合型があり、いずれも水や有機溶剤を含まない有効成分100%の粘着剤です。揮発成分を含まないため、一度の塗工で粘着剤層の厚膜化が可能であり、有機溶剤を使用していないので環境負荷の少ない粘着剤です。またエマルジョン型粘着剤の課題である耐水性に対する懸念がないことも特徴です。
ホットメルト型は室温ではゴム状の樹脂ですが、加熱することで溶融し塗工することが可能になります。高温で溶融するため耐熱性のある基材を選定する必要があり、塗工時の安全性にも気を付ける必要があります。
UV重合型は高分子量化が可能であり、設計の自由度も高く耐久性を付与することが出来る一方、残存モノマーによる臭気が残りやすい、また酸素による重合阻害を回避するための設備対策が必要などの課題もあります。

粘着剤の種類

粘着剤には大きく3つの種類があります。

  • アクリル系粘着剤
  • ゴム系粘着剤
  • シリコーン系粘着剤

そのほか、ウレタン系粘着剤などがあります。
それぞれの特長は以下の通りです。

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  アクリル系 シリコーン系 ゴム系
溶剤型 溶剤型 溶剤型
粘着力
凝集力
べたつき
耐水性
耐熱性
耐候性 ×
耐溶剤性
耐寒性
価格帯
  • アクリル系粘着剤
  • ゴム系粘着剤
  • シリコーン系粘着剤

アクリル系粘着剤

アクリル酸エステルを主成分として合成された粘着剤です。豊富な種類のモノマーを適切に設計することで、強粘着性、耐熱性、低温接着性、高透明性、高耐久性などの優れた性能をバランスよく発揮することができます。
一般的に粘着力が強く耐候性や耐熱性に優れており、ほかの種類の粘着剤よりも屋外や高温・高湿度の環境下での使用に適しています。また、豊富な種類のモノマーを用いて、多種多様な設計ができるため、使用目的に合わせた設計が可能です。透明性に優れるため、光学用途にも多く用いられています。一方、低温における粘着特性は、ほかの種類の粘着剤に劣ります。

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ゴム系粘着剤

ゴムを主成分としている粘着剤で、大きく天然ゴム系と合成ゴム系に分けられます。初期のべたつきが強い傾向にあり、高い接着力と剥離力で多様な素材に対して使用することができます。また、低温環境下でも濡れ性を保ちながら被着体に貼りつくことができるなど、耐寒性に優れていますが、高温下では、粘着剤が柔らかくなりやすく性能が低下します。UV劣化も起こりやすいため、熱のかかる用途や屋外での使用は不向きです。

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シリコーン系粘着剤

シリコーンポリマーを主成分としている粘着剤で、耐熱性や耐候性、耐薬品性に優れています。他の種類の粘着剤が貼りつきにくい低表面エネルギーの素材にも、優れた粘着性を発揮します。耐熱性・耐寒性を有し、温度環境を選ばずに使用することが可能な一方、ほかの種類の粘着剤と比べてかなり高価なため、汎用テープではなく特殊な用途に使用されています。一般的にタックや粘着力が弱く柔らかい粘着剤です。

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