環境配慮型粘着剤SKダイン™
製品概要
環境配慮型粘着剤は、シックハウスの原因のひとつであるトルエンを含まないノントルエンタイプや有機溶剤の含有率を低減したハイソリッドタイプ、生物資源由来の原材料を使用したバイオマスタイプなど、多くのラインナップを取り揃えています。
建築材料や自動車用途に適した永久接着タイプから、貼りつけ後に綺麗に剥がせるラベルシール用途向けの再剥離タイプなど、ご使用いただく環境に合わせてお選びいただけます。このほか、さらにバイオマス度を高めた開発品もございますので、ぜひお問い合わせください。
特長
綜研化学の環境対応型粘着剤には、大きく3つの種類があります。
- ノントルエンタイプ
- ハイソリッドタイプ
- バイオマスタイプ
ノントルエンタイプ
特長
溶剤としてトルエンを使用していない粘着剤です。トルエンはシックハウス症候群の原因のひとつでもあり、人体や環境に悪影響を及ぼします。また、REACHなど国内外のさまざまな法律でも規制が進んでいます。ノントルエンタイプの粘着剤は、トルエンの代わりに酢酸エチルなどの溶剤を使用しており、さまざまな性能を持つ製品のラインナップを取り揃えております。トルエンの使用はありませんが、従来品と同様、幅広い機能性を備えた製品です。
用途
自動車内装材固定用テープ、両面テープ、フォームテープ、養生用テープ、ウィンドウフィルムなど
ハイソリッドタイプ
特長
溶剤量を少なくし、固形分濃度を上げた粘着剤です。溶剤を減らすことにより、有効成分比率を高めた、濃度の高い粘着剤となっています。塗工時の乾燥にかかる時間が短い、塗工速度を上げられるといった生産性向上や、製品容器コストや輸送コスト、製品保管コストなど、コスト低減に寄与できます。また、塗工乾燥時や輸送時に排出されるCO2も削減可能です。強粘着から微粘着までさまざまなラインナップを揃え、ご使用の用途に合った粘着剤をご提案させていただきます。
用途
保護フィルム、両面テープ、フォームテープ、養生用テープなど
バイオマスタイプ
特長
環境に配慮したバイオマスタイプの粘着剤です。バイオマスとは、生物資源(バイオ)の量(マス)を表す概念で、石油などの化石資源由来ではなく、動植物から生まれた資源のことです。カーボンニュートラルを実現するための手段のひとつとして、注目されています。粘着剤においても、バイオマス原料の適用が進められています。当社では、永久接着用途から再剥離用途までラインナップを揃えており、循環型社会への貢献に向けた提案や取組みを行っています。(バイオマスタイプもノントルエンです)
用途
床材の固定、電子デバイスの部品固定、養生テープ、フォームテープ、両面テープ、自動車内装部品固定用テープなど
代表的な品番
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品番 | nv(%) | 粘度(Pa・s) | 特長 | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
粘着力※1 | ノントルエン※2 | ハイソリッド | オレフィン素材接着性 | 耐応力性 | 耐熱性 | 耐寒性 | 粗面接着性 | 耐可塑剤性 | 耐プラスチック性 | |||
1234DT | 44 | 7.0 | 中 | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
1273DT | 43.5 | 8.8 | 強 | ○ | ○ | ○ | ||||||
1275DT | 51 | 8.0 | 強 | ○ | ○ | ○ | ||||||
1429DT | 30 | 1.5 | 強 | ○ | ○ | |||||||
1700DT | 42 | 11.0 | 強 | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
1701DT | 30 | 4.5 | 強 | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
1717DT | 47 | 6.5 | 強 | ○ | ○ | ○ | ||||||
1720DT | 44 | 8.5 | 強 | ○ | ○ | ○ | ||||||
1838DTGB | 21 | 5.0 | 強 | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
1986DT | 50 | 4.5 | 強 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
- ※1 粘着力は微<弱<中<強で表現。
- ※2 500ppm程度のトルエンを含有しています。
当社では、お客様での環境負荷低減への取り組みについて、さまざまなご提案を用意しております。ご興味のある製品がございましたら、お気軽にご連絡ください。
環境配慮への取り組み
環境対応の取り組み
近年、地球規模の環境問題が深刻化する中、環境対応製品への需要が高まっています。特に化学産業においては、製品の製造過程や使用において環境への影響を最小限に抑えることが求められており、粘着剤市場もその例外ではありません。従来の粘着剤は溶剤型が多く、揮発性有機化合物(VOC)の放出による環境負荷が大きいため、溶剤使用量低減への意識が高まっています。環境負荷物質の概要および低減の必要性と、環境負荷の少ない当社粘着剤について解説していきます。
VOCの種類
「VOC」とは、「Volatile Organic Compounds(揮発性有機化合物)」の略称で、環境や人体に悪影響を与えることがある有機化合物の一種です。揮発性とは、気化しやすい性質を持つことを意味しており、VOCは室内や大気中に放出されることがあります。空気を汚染し、健康被害を引き起こすことがあるため、VOCの低減が求められています。
VOCの分類
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沸点 | 名称 | VOCの例と沸点 |
---|---|---|
50℃未満 | 高揮発性有機化合物(VVOC) Very Volatile Organic Compounds |
メタン(-161℃)、ホルムアルデヒド(-21℃)、メチルメルカプタン(6℃)、アセトアルデヒド(20℃)、ジクロロメタン(40℃) |
50℃以上260℃未満 | 揮発性有機化合物(VOC) Volatile Organic Compounds |
酢酸エチル(77℃)、エタノール(78℃)、ベンゼン(80℃)、メチルエチルケトン(80℃)、トルエン(110℃)、トリクロロエタン(113℃)、キシレン(140℃)、リモネン(178℃)、Lニコチン(247℃) |
260℃以上400℃未満 | 半揮発性有機化合物(SVOC) Semivolatile Volatile Organic Compounds |
クロルピリホス(290℃)、フタル酸ジ-n-ブチル(340℃)、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(390℃) |
400℃以上 | 粒子状有機化合物(POM) Particulate Organic Compounds |
PCB、ベンゾピレン |
- 引用元: 車室内VOC(揮発性有機化合物)低減に対する自主取り組み|JAMA-一般社団法人日本自動車工業会
厚生労働省の示す室内濃度指針値
室内濃度指針値設定の目的は、建築物や住宅の室内環境を改善し、人々の健康を守ることです。指針値は、現状において入手可能な化学的知見に基づいて、人がその化学物質に一生さらされたとしても、健康への有害な影響を受けないであろう、と判断される値で設定されています。
指針値によって、製品の開発や選択が促され、環境に配慮した生活空間の実現が目指されています。
室内濃度指針値(厚生労働省)
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揮発性有機化合物(VOC) | 室内濃度指針値 | 揮発性有機化合物(VOC) | 室内濃度指針値 |
---|---|---|---|
ホルムアルデヒド | 100μg/㎥ (0.08ppm) |
テトラデカン | 300μg/㎥ (0.04ppm) |
アセトアルデヒド | 48μg/㎥ (0.03ppm) |
クロルピリホス | 1μg/㎥ (0.07ppb) 但し小児の場合は0.1μg/㎥ (0.007ppb) |
トルエン | 260μg/㎥ (0.07ppm) |
フェノブカルブ | 33μg/㎥ (3.8ppb) |
キシレン | 200μg/㎥ (0.05ppm) |
ダイアジノン | 0.29μg/㎥ (0.02ppb) |
エチルベンゼン | 3800μg/㎥ (0.88ppm) |
フタル酸ジ-n-ブチル | 17μg/㎥ (1.5ppb) |
スチレン | 220μg/㎥ (0.05ppm) |
フタル酸ジ-2-エチルヘキシル | 100μg/㎥ (6.3ppb) |
パラジクロロベンゼン | 240μg/㎥ (0.04ppm) |
総揮発性有機化合物量(TVOC) | 暫定目標値 400μg/㎥ |
- 引用元: 厚生労働省 室内空気中化学物質の室内濃度指針値について
開発の背景や市場のニーズ
溶剤型粘着剤に含まれる有機溶剤は、常温で揮発しやすい成分です。環境への影響があるだけでなく、シックハウス症候群など人体への影響も少なくありません。このような問題を解決するため、環境対応型粘着剤の開発は、さまざまな業界で求められています。
特に建築業界、自動車業界では、日常生活空間の空気環境を改善するため、内装材料の低VOC化や無臭化が求められています。住宅は、近年気密性が高くなっており、換気を行わないと建物内で空気循環が不足するリスクがあります。建築業界では、こうした気密性の高い住宅においても居住者の健康を保護するため、低VOC化が重要視されています。また、自動車業界では、2005年に日本自動車工業会が「車室内VOC低減に対する自主取り組み」を策定し、化学物質濃度や車室内のにおいの低減が進められています。
このような背景から、低VOC化や無臭化を実現する環境対応型粘着剤の開発は、市場ニーズに応えるために不可欠であり、多くのメーカーが研究開発に取り組んでいる状況です。環境への負荷を低減するとともに、より快適な生活空間の実現が期待されています。
建築材料で低VOC化が必要な用途
自動車内装材で低VOC化が必要な用途
建築材料・自動車内装材で「低VOC化」が求められる理由
住宅や自動車などの空間は、私たちの生活空間であり、長時間を過ごす場所ですが、建築材料や内装材から放出されるVOCは、室内の空気を悪化させる場合があります。
建築材料などに含まれるVOCは、アレルギーや喘息などのシックハウス症候群を引き起こすことがあります。また、自動車では、密閉された空間で長時間乗車する場合、社内の人の健康を害するだけでなく、運転中に体調不良を起こすことによって、事故につながってしまう恐れがあります。VOCは、新車のにおいなど車内のにおいの原因になり、車酔いを起こす場合もあります。運転者や居住者の健康保護や、快適な室内環境の提供、また、環境への配慮が求められる中、各業界において低VOC化は重要な課題となっています。
そのほかの低VOC化によるメリット
粘着剤中の溶剤を少なくすると、粘着剤の固形分濃度が上がります。これにより、低VOC化や無臭化だけでなく、さまざまな効果があります。
揮発成分が少なくなるため、実際に粘着剤として使用できる成分の濃度(固形分)が上がり、同じ容量でも正味量が多くなります。同じ重さの粘着剤を運ぶ際、固形分の高い方が、固形分の低いものよりも、容器の使用量を削減でき、輸送効率も上がります。輸送効率が上がるため、配送する車や船などからでるCO2も削減できます。また、粘着剤を支持体に塗布し乾燥させる際にも、揮発溶剤量が少ないため、塗工効率が上がります。このように、省溶剤化することで、経済的な効果も生まれます。
省溶剤による効果
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また、記載されている用途は、いかなる特許に対しても抵触しないことを保証するものではありません。